本気で知って欲しい人の「伝え方」|CCFメンバーnote
小説や漫画が映像化されたとき、
「なんだか思っていたものと違う」
という感想を、Xなどでたまに見かけます。
それは、主人公の顔や声だけではなく、街の色や、部屋の明るさや、雨音まで。
読んでいる間に、読者が頭の中で勝手に作っていた景色があるからです。
だから映像化というのはある意味、「誰かの頭の中の景色を、他人に見せる作業」なのかもしれません。
そしてそれは、とても難しいことです。
自分の見えているものを、そのまま相手に渡すことはできないからです。
では、どうやったら自分の思いを相手に正しく伝えられるのでしょうか。
今回は、そんな話をします。
「伝える」を勘違い?
編集や、コピーライターの仕事をしています、と人に伝えると
「言葉を扱う仕事ですね」
と言われることがあります。
たしかにそうですが、実際には「どうすれば読んでもらえるか」を考える作業の方がずっと多い仕事です。
どれだけ良い内容でも、最初の数行で閉じられてしまえば、そこから先には進んでもらえません。
タイトルを変える。
言葉を削る。
漢字をひらく。
説明を減らす。
順番を入れ替える。
そういうことを、延々にやります。
ですから長いこと「伝える」というのは、どれだけ正しい日本語で、どれだけ内容を充実させるか、ばかりだと思っていました。
けれども最近は、どうもそれだけでもない気がしています。
地方創生という言葉と関わるようになってから、とくにそう思うことが多くなったかもしれません。
私は横浜で生まれましたが、幼稚園からずっと東京の学校に通っていました。
毎日鶴見川と多摩川を越えて、都民の日に学校を休み、開港記念日に学校へ行く“根無草”です。(横浜は開港記念日に学校が休みになります)
そのため、商店街の顔なじみ、みたいな人もいません。
親戚もみな首都圏ですから、帰省して親戚みんなで集まる、みたいな習慣も薄い。
そんな育ちなので、地方での話を聞いていると、
ときどき、本当に単純に「へえ」と思います。
そんなに近所の人と話すんだ、とか。
親戚との距離ってそんなに近いんだ、とか。
スタバができることをそういう風に受け止めるんだ、とか。
とくに、“周囲の人との距離感”には驚かされてばかりです。
以前の私は、その「へえ」を、少し恥ずかしいものだと思っていました。
とくに社内ではここまでの根無草もなかなかに異端なので。
知らないことがある、という状態を、早く埋めなければいけない気がしていたのです。
けれど、地方創生と関わっていく中で「驚く」ということそのものを、もう少し楽しんでもいいのかもしれない、と最近は思っています。
何も知らない根無草だからこその視点も、あるはずだと思えたからです。
本当に知って欲しいことは何?
好きだった小説や漫画の映像化も、きっと同じです。
「なんか違う」で拒絶することもできます。
けれど、「そういう世界観もあったんだ!」と思えた瞬間、その作品は急に明るく広がりま
す。
自分ひとりで抱えていた世界に、別の窓が増えて、枝を生やし、四方八方に伸びていく。
驚きというのは、知らなかったものに出会うことだと思っていました。
でも本当は、自分の“当たり前”から飛び出し、違いを受け入れることかもしれません。
伝え方も、きっと似ています。
難しい言葉を使えば、正確にはなる。けれど入口は少し狭くなります。
逆に、やさしい言葉だけで説明すると、大事な凹凸が消えてしまうこともある。
3歳の娘と話している時も、同じです。
「危ないから走らないで」より、「ここ、つるって滑っちゃうよ!」
のほうが、すっと伝わります。(それでもダメな時はいっぱいあります)
それともうひとつ。
自分がこんな知識を知っていて、こんなアイデアを持っているんだよ!と周囲に知ってもらうことがゴールになっている瞬間ってありませんか?
恥ずかしながら私はいっぱいあります。
でもどこかで立ち返って、
伝えたい相手の気持ちになって、何も知らない3歳の娘が興味を持てるような言葉や、世界観で相手を惹きつければ、誰しもが読み進めたくなる物語を書けるかもしれません。
(娘を叱る時も、娘のためではなく周囲の人に『私はきちんと叱る母親ですよー』とアピー
ルするために叱ってしまう時があります、猛省。)
あなたの「想い」を結んでください
CCFに関わる皆様は、きっと自分の様々な考えやアイデアを
いろんな人に気付いてもらいたい!
自分の知っているこの素晴らしい地域を、
もっともっと知ってもらって活性化したい!
そんな思いで参加されている人がほとんどでしょう。
あなたの伝えたいことを受け取った人が、
「へえ、そうなんだ」で終わらせるのではなく
「こういう世界があるんだ、面白い!」
と、立ち止まってもらえるような言葉を、アイデアを、プレゼンを、夢を。
CCFで展開してくれるお手伝いをするとともに、
知る楽しさや驚きがいっぱい詰まった地方創生が行われることを心より願っています。
そして私のような根無草の人は、私と一緒に「はじめての地方創生」をめいっぱい楽しみましょう。
ぜひ、よろしくお願いします。
CCF2026 広報
石田柊子